OverExpress コンピテントセル
E. coli BL21(DE3) 株は、T7 発現ベクター (pETまたはpSMART™-cDNA ベクターなど) にクローニングされた多くの遺伝子を発現させますが、組換えタンパク質の種類によっては標準的な BL21株に有害または致死的であるため、発現が最小限または検出できないことがあります。そのような毒性タンパク質の例には、多くの膜タンパク質、細胞質タンパク質およびヌクレアーゼが含まれます。
OverExpressコンピテントセルは、真正細菌、酵母、植物、ウイルス、哺乳動物など、あらゆる種類の生物から有毒タンパク質を効果的に発現する大腸菌株です。毒性タンパク質の発現におけるOverExpressコンピテントセルの有効性は、350 以上の文献で評価されています。
OverExpress株には、毒性タンパク質に対して表現型的に耐性を示すものが選択された遺伝子変異が含まれています。C41(DE3)株は、BL21(DE3)から派生した株で、少なくとも1つの変異があり、多くの毒性タンパク質の発現に伴う細胞死を防ぎます。C43(DE3)株は、C41(CE3)株から異なる毒性タンパク質に対する耐性をもつ株を選択することによって、C41(DE3)とは異なる一連の毒性タンパク質を発現することができます。

図 1. タンパク質発現を誘導するために IPTG プレートに広げたC41、BL21、およびC43コンピテントセルに形質転換され、T7プロモーター コンストラクトから発現された緑色蛍光タンパク質 (上)及び赤色蛍光タンパク質 (下)。
Table. 1およびFigure. 2は、様々な組換えタンパク質をコードするT7発現プラスミドの形質転換効率、発現誘導毒性の耐性およびタンパク質発現をまとめたものです。これらの結果は、毒性タンパク質の形質転換および発現において、OverExpress C41(DE3) および C43(DE3) 株が親 BL21(DE3) より明らかに優れていることを示しています。
Table 1. 形質転換と異種タンパク質の発現におけるOverExpressとBL21の比較**
菌株 | 形質転換成功率a | 毒性を誘導した発現b | プラスミドの発現c |
BL21(DE3) | 16/26 (62%) | 25/26 (96%) | 14/26 (54%) |
C41(DE3) | 28/28 (100%) | 14/28 (50%) | 24/28 (86%) |
C43(DE3) | 28/28 (100%) | 1/28 (4%) | 23/28 (81%) |
Fig. 2 OverExpressとBL21の比較(グラフ)

a. 形質転換の成功は、プラスミド形質転換後のアンピシリン含有のLB寒天培地上でのコロニー存在に対応します。
b. 毒性の発現は、プラスミド形質転換後のアンピシリン+IPTGのLB寒天培地上でのコロニーの不在に対応します。
c. プラスミドの発現は、アンピシリン含有のLB寒天培地でのコロニーの生育及びIPTGで誘導後、クマシー染色したSDS-PAGEでの全細胞ペレットにおけるタンパク質の検出に対応します。
** L. Dumon-Seignovert, G. Cariot, and L. Vuillard (2004). Protein Expression and Purification 37, 203-206. Data used with permission.
通常のBL21(DE3)細胞のように、OverExpress™ C41(DE3)、C41(DE3)pLysS、C43(DE3)、および C43 (DE3)pLysSは溶原菌λDE3です。これらの菌株はlacUV5プロモーターの調節下にあるT7 RNAポリメラーゼ遺伝子の染色体コピーを有します。この菌株はT7誘導型発現ベクターにクローニングされた遺伝子のタンパク質発現に適しています。
また、lonおよび ompTプロテアーゼも欠損しています。
OverExpress™ pLysS株はT7 RNAポリメラーゼの天然阻害剤であるT7リゾチームをコードするクロラムフェニコール耐性プラスミドを保持しています。
pLysS を含む細胞は少量の T7 リゾチームを産生します。これらの菌株は、誘導前にT7 RNAポリメラーゼの基底発現を抑制するために使用され、特に毒性のあるタンパク質をコードする組換え体を安定化します。
ジェノタイプ:
OverExpress C41(DE3): F – ompT hsdSB (rB- mB-) gal dcm (DE3)
OverExpress C41(DE3)pLysS: F – ompT hsdSB (rB- mB-) gal dcm (DE3) pLysS (CmR)
OverExpress C43(DE3): F – ompT hsdSB (rB- mB-) gal dcm (DE3)
OverExpress C43(DE3)pLysS: F – ompT hsdSB (rB- mB-) gal dcm (DE3) pLysS (CmR)
形質転換効率:
エレクトロコンピテントセル | cfu/μg DNA |
OverExpress C41(DE3) | > 1 × 109 |
OverExpress C43(DE3) | > 1 × 109 |
ケミカルコンピテントセル | cfu/μg DNA |
OverExpress C41(DE3) | > 1 × 106 |
OverExpress C41(DE3)pLysS | > 1 × 106 |
OverExpress C43(DE3) | > 1 × 106 |
OverExpress C43(DE3)pLysS | > 1 × 106 |
製品名 | 容量 | Cat. No. |
OverExpress C41(DE3) Electrocompetent Cells | 12反応 | 60341-1 |
OverExpress C43(DE3) Electrocompetent Cells | 12反応 | 60345-1 |
OverExpress C41(DE3) Chemically Competent Cells | 12反応 | 60442-1 |
OverExpress C41(DE3) pLysS Chemically Competent Cells | 12反応 | 60444-1 |
OverExpress C43(DE3) Chemically Competent Cells | 12反応 | 60446-1 |
OverExpress C43(DE3) pLysS Chemically Competent Cells | 12反応 | 60448-1 |
内容:OverExpress cometent cell, Expression Recovery Medium(lactose-free), pAVD10 DNA, pUC19 DNA
【ご注意】
上記商品は、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(通称カルタヘナ法)の使用規制対象品です。ご使用に際しては、規則に則し、適切にお取扱いください。