ウイルスベクター作製・レンチウイルス・アデノ随伴ウイルス(AAV)
遺伝子治療は、ウイルスベクターやナノ粒子などの送達媒体(ベクター)を用いて遺伝子などを導入し、生体内で発現させて治療することです。遺伝子治療には、2種類あり、生体内(in vivo)に直接遺伝子を導入する方法(in vivo の遺伝子治療)と、あらかじめ細胞を取り出して生体外で遺伝子を導入し、その細胞を生体内に戻す方法(ex vivoの遺伝子治療(遺伝子細胞治療))があります。
遺伝子治療は、急速に研究開発が進んでいますが、よく使われるウイルスベクターとしては、アデノウイルスやレンチウイルスやレトロウイルスがあります。下記に特長をまとめます。
ウイルスベクターの特長
ウイルス種類 | レトロウイルス | レンチウイルス | AAV | アデノウイルス |
表面 | エンベロープ | エンベロープ | 非エンベロープ | 非エンベロープ |
パッケージ能力 | 8kb | 8kb | ~4.7kb | 7.5kb |
親和性/感染 | 分裂細胞 | 幅広い | 幅広い(造血幹細胞は除く) | 幅広い |
ホストゲノムへの組込 | 〇 | 〇 | 低頻度 | 低頻度 |
遺伝子発現期間 | 長期間 | 長期間 | 長期間の可能性 | 一過性/長期間(免疫原生による) |
投与方法 | Ex vivo、造血管細胞、T細胞 | Ex vivo、造血管細胞、T細胞 | In vivo、脳内、筋肉内 | In vivo、腫瘍内 |
ウイルスベクターの作製工程
ウイルスベクターの作製工程は、一般的に下記のような工程になります。ウイルスの種類により使用する細胞等が異なります。
アデノ随伴ウイルス(AAV)などのウイルスベクターの精製ステップにおいては、ウイルスベクター表面とDNAが凝集することがあります。これはpH7.5においてAAVはポジティブチャージしているのに対し、DNAはネガティブ゙にチャージしているためです。そのため、DNAなどの核酸を分解し除去する必要があります。DENARASEは、あらゆる形態のDNAやRNAを2-5塩基に分解し、より不純物の少ないウイルスベクターの精製に役立ちます。また、DENARASEはGMPグレードで提供が可能です。
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ウイルスベクターの濃度の調整
ウイルスベクター作製の精製ステップでは、バッファーとウイルスベクター濃度を調整する必要があります。 タンジェンシャル フローろ過 (TFF) は、このステップで通常採用されるスケーラブルなアプローチです。Pall社ミニメイトEVO TFFシステムは、最大1Lまでのサンプルのバッファー交換や濃縮を高い信頼性で実施が可能です。
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